コンサルティング物語

ワクワクする会議をしよう

EME「コンサルティング物語」は、コンサルティングの現場を物語風にアレンジしたものです。
コンサルタントの役割を身近に感じて頂けるように、EMEの新しいチャレンジです。

 ワクワクする会議をしよう


その1

コンサルティング物語

〜 「考えない」のではなく「考えさせていない」のです 〜

皆さんは、経営会議や営業会議、その他の会議の場で、ワクワクしているだろうか。
私の些少な経験の中で申し上げると、ワクワクしている会議と出会ったのは、数えるほどしかない。みんな我慢や苦痛の時間を過ごしている。業績が悪ければなおさらである。
なぜ、会議の場が活性化しないのだろうか。

O社における会議の変化を通じて、ワクワクする会議について考えてみよう
O社は、地方都市P市にある地場の食品メーカーである。年商は約10億円。得意先である大手卸売企業に対して、OEMで商品を供給してきた。近年、景気の低迷から、生産量は逓減、一方では、値下げ要請が厳しく、そのため、O社では、OEM供給から脱却して、独自の商品開発と販路開拓を目指してきた。しかし、新商品開発も新しい販路の開拓も遅々として進まず、業績は悪化していた。
このような状況の中で、O社の社長であるQ氏が、EMEに組織革新に向けたコンサルティングの相談に来社された。

Q社長: 我が社には、沈滞ムードが漂っている。(資料を見せながら)ここまで、業績が悪化しているのに、経営会議の場でも、4人の部長(営業部長、製造部長、業務部長、経理部長)から、建設的な意見が聴かれない。部長がこのような状態だから、社内が活性化していない。
コンサル: 部長に責任意識がないとおっしゃるのですね。経営戦略は、どのようにして決められていますか。
Q社長: 我が社の将来像、そして実現するための基本方針を私が作って、各部長に具体的な戦略を作らせています。しかし、現実的には、各部長から提出される戦略に、見るべきものがないので、私が手を加えて、実行計画にしています。
実は、部長といっても部長のレベルではありません。従って、決められたことを、キチンと実行することが、彼らの使命なのです。
コンサル: しかし、決められたことも実行できない。彼らに、決められたことに対する実行力をつけてもらいたい、このように理解すればよろしいでしょうか。ただ、社長は、"決められたことだけを実行する部長"をお望みですか?
Q社長: いや、そんなことはない。自分で考えて実行できる部長になってもらいたい。しかし、決められたこともできないのに、それ以上を臨むことは無理なのではないか。
コンサル: 私は、無理ではないと思うのですが、一度、"社長の想いが通じるのか" "私の認識が正しいのか"を検証するために、経営会議を見学させて頂けませんか。
Q社長: 是非、見にきてください
 
ということで、コンサルタントが、O社の経営会議を見学させてもらうことになった。
 
R営業部長: 前月は、A商材に対するキャンペーン、B商材に対するキャンペーンを実施しましたが、売上○○千万円、粗利益額△△千万円、粗利益率□□パーセント、売上は、○○百万円の未達成、粗利益額△△百万円の未達成という結果に終わりました。申し訳ありません。新商品の売上は、○○百万円の未達成。新規顧客の開拓は、##件の不足となっています。
今月は、A商材に対するキャンペーンを継続すると共に、見込み顧客への訪問頻度を増やして、新規開拓件数の未達成の挽回を図ります。
Q社長: R部長、A商材のキャンペーンの達成率が、&&パーセントと非常に低いが、なぜこのような結果で終わったのか、そして、今月は、どのような手を打って、達成率を100パーセントとしようとしているのか。また、売上高の未達成の原因がどこにあって、次月に向けて、どのような対策を打とうとしているのか、その振返りと対策の報告がないと、営業部長のマネジメントが完結していない。
で、その報告はどうなんだ・・・
R営業部長: ・・・
 
O社の経営会議では、各部長の報告とその報告に対するQ社長とのやり取りが続いていた。
経営会議の後、Q社長と意見交換を行った。
 
Q社長: いかがですか。我が社の部長を見られて、どのように感じられましたか
コンサル: たしかに、どの部長にも、「やらされ感」が漂っていますね。
Q社長: この「やらされ感」を払拭して、主体的に活動するような、意識の変革はできないものでしょうか
コンサル: ただ、部長の「やらされ感」を創りだしているのも、社長ご自身であることを認識されていますか。
Q社長: 私のどこが、「やらされ感」を創りだしているというのですか
コンサル: 社長は、目標だけでなく、実行計画も手を加えて、実施するように指示しているとおっしゃっていました。また、今日の会議でも、目標の未達成の原因や実施していない原因を、質問というよりは詰問して、あらたな活動を発表させています。彼らは、深く考えないで、詰問されるから、あらたな活動を発表しているだけです。私には、「考えない部長」がいるのではなく、「考えさせない社長」がいるように見えています。
Q社長: 「考えさせない社長」ですか・・・。では、どのようにすれば、彼らを「考える部長」にすることができますか
コンサル: 経営会議に、参加メンバーが主体的に行動する「ワクワク会議」の考え方、手法を導入しませんか。ただ、「ワクワク会議」には、即効性がありません。しかし、着実に考える部長を育成し、主体的に行動する部門ができあがります。そして、タイムラグはありますが、業績も着実に改善されます。
4ヶ月、経営会議に「ワクワク会議」の考え方、手法を導入しませんか。
Q社長: わかりました。ぜひ、やってみましょう
 
こうして、O社において、ワクワク会議が導入されることになったのです。ワクワク会議の考え方、ルール、内容については、次回、ご報告します



コンサルティング物語

その2

〜 まず自己開示:ワクワクグラフの発表 〜

ワクワク会議は、社員同士で問題解決をしていく会議です。経営会議であれば、経営会議の参加者が、お互いに問題解決を進めていきます。今回の経営会議では、社長以下、4人の部長(営業部長、製造部長、業務部長、経理部長)が対象となります。


コンサル: 皆さん、こんにちは。先日、Q社長から、ご連絡があったと思いますが、これから、4ヶ月間「ワクワク会議」という方法を使って、皆さんと一緒に経営会議を運営して行きます。経営コンサルタントの◎◎と申します。「ワクワク会議」チョット変わった名前だと思います。「ワクワク会議」は、皆さんと一緒になって、経営の問題解決をしていく会議です。」
各部長:  (無反応)
コンサル: 論より証拠。「ワクワク会議」の一端を体験しましょう。この1週間で楽しかったこと、ワクワクしたことをメモしてください。そして、一人ずつ全員に披露してあげてください。
 
  ― 中略 ―
 
コンサル: 楽しかったこと、ワクワクしたことを交換すると、皆さんの顔色が良くなりましたね。このような会議の場を創りたいのです。
みんなで問題解決する「ワクワク会議」には、4つの“ルール”があります。その一つ、みんなで問題解決をするわけですから、意見は質より量を重んじます。たくさん発言することが求められます。二つ目には、意見を言って批判されると、次に話す力が萎えてしまいます、従って、お互いにたくさん発言するためには、相手を非難・批判しないことが重要です。さらに三つ目には、評論家的な(第三者的な)意見では、議論が深まらず、問題解決に結びつきません、従って、自分の意見を言う、自分のことばで質問することが重要です。そして四つ目には、一人一人が意思決定に参画して、賛成・反対、あるいは賛成のレベル・反対のレベルを明確にしなければなりません。
各部長: (まだ、納得いかない様子)
コンサル: また、「ワクワク会議」では、4つの“見える化” があります。その一つは、意見の見える化、自分の意見をポストイットに記述して“見える化”します。二つ目は、議論のプロセスの見える化。議論の流れを模造紙やホワイトボードを使って記述していきます(書記の方は、議論の流れをノートに整理します)。三つ目は、意思決定の見える化。意思決定ボードを使って、賛成のレベル、反対のレベルを“見える化”します。特に、今回の経営会議では、他の部長から指摘を受けたことに対して、納得の度合いを意思決定して頂きます。そして、最後(四つ目)に、会議の納得度合いの見える化。感想文シートを活用して、会議の進め方・意思決定のタイミング等、今回の会議の反省と、次回の会議への要望等を“見える化”するのです。
 
  ― 中略 ―
 
コンサル: 我々が十分な議論をしていくためには、相手から批判されない「安心の場」と、お互いに良く知り合うための「自己開示」が重要です。そこで、自己開示のゲームをいたしましょう
「ワクワクグラフ」を書いて、自分史を発表します。ワクワクした時期、ワクワクしなかった時期を評価して、グラフ化します。そして、その背景について、コメントを入れてください。発表は、ワクワクしたことだけで結構です。“上司の○○さんがいるからワクワクしない”なんて、言えないでしょうから(笑)。また、発表を聞いている方は、発表者に対して、必ず一つ以上、質問やコメントを言ってあげてください。コミュニケーションは、キャッチボールにたとえられます。双方向の対話があって、初めて、お互いの理解が進むのです。
 
  ― 中略 ―
 
このようにして、「ワクワク会議」の導入プログラムとして、「ワクワクグラフ」と自分史の発表が始まりました。中小企業の場合、幹部社員であっても、中途入社の方が数多くいます。そして、意外とお互いのことを知り合っていないのです。O社の場合も、例外ではありませんでした。Q社長も、二代目として、大手食品メーカーでの修行の後、O社に入社したのであり、生え抜きは、業務部長だけだったのです。経営幹部の方々は、「ワクワクグラフ」の発表と対話を通じて、長年、同じ釜の飯を食いながら、知らないことが、これほど多かったのかと新しい気付きを得たのです。少し、お互いの鎧の紐が解けたように感じました。

そして、「ワクワク会議」を使った、経営会議のスタートです。少し、鎧の紐が解けて、対話が進んだのでしょうか? その内容については、次回 ご報告します。



コンサルティング物語

その3

〜 誰も発言しない 〜

「ワクワクグラフ」の発表に続いて、「ワクワク会議」を使った経営会議のスタートです。
初回の経営会議では、各部門長の持ち時間を原則20分(最長でも30分)としました(初回は、ワクワクグラフの発表があり、また、ワクワク会議に慣れていないことから、各部長の持ち時間を短めにします)。

  1. まず、部門長の発表者に対して、聴き手は、自分の意見・質問をポストイットに記述してもらいます(意見の見える化:最低5枚)。社長も例外ではありません。持ち時間は、発表者が自分のために使う時間です。
  2. 聴き手を指名して、意見・質問を引き出すことも、発表者に任されます。また、出された意見・質問は、次の発表者がメモをする(議論の見える化)、メモの内容を確認することにしました。
  3. そして、発表者は、出された意見に対する納得度について、意思決定カードを掲げることによって明確にします(意思決定の見える化:100納得する必要はありません。納得して、実行するものだけを選択します)。全員が一丸となって実行するものについては、全員が意思決定カードを掲げます。意思決定カードを掲げることによって、認識ギャップを調整するのです
  4. さらに、会議が終わると「会議に対する感想文」を書きます(納得の見える化)。

コンサル: では、最初 営業部門から「部門実績と今後の活動計画」について、発表をお願いします。発表を聞きながら、ポストイットに自分の意見や質問を記入してください。
R営業部長: 前月は、自社ブランド商材に関して、継続してA商材に対するキャンペーン、C商材に対するキャンペーンを実施しましたが、売上○○千万円、粗利益額△△千万円、粗利益率□□パーセント、売上は、○○百万円の未達成、粗利益額△△百万円の未達成という結果に終わりました。申し訳ありません。
新商品の売上は、○○百万円の未達成。新規顧客の開拓は、$$件の不足となっています。
今月は、A商材については需要期を過ぎますので、キャンペーンをD商材に切り替えて行います。また、C商材のキャンペーンは継続する予定です。また、新商品の提案については、サンプル配布を徹底して、取り扱い顧客の増加を図ります。一方、見込み顧客への訪問頻度を増やして、新規開拓件数の未達成の挽回を図ります。
コンサル: ありがとうございます。ひとつR営業部長に質問です。前月のA商材とC商材の売上目標、粗利益額目標を教えて頂けますか。また、個々のキャンペーンに対して、具体的には、どのような活動を行ってきたのですか。
R営業部長: 特に、商品別の目標は設定していません。また、具体的な活動としては、パンフレットを持参して、販売強化をお願いしています。
コンサル: では、営業部長として、メンバーから「部門実績と今後の活動計画」についての意見・質問を求めてください。また、メンバーの方は、ポストイットに記入したことを発表してください。
R営業部長: 何か、意見・質問ありませんか・・・。(各部長沈黙)
S製造部長、意見・質問ありませんか
S製造部長: 私は、製造部長なので、営業のことは良くわかりません。
コンサル: Sさん、同じ会社の仲間なのですから、ぜひ、お互いに関心を持ち合いましょう。ワクワクグラフでは、自分の商品作りに対する想い入れを熱っぽく語ってくれたではないですか。何か、一言、お願いします。
S製造部長: それでは、R部長にお聞きしたいのですが、なぜ、当社のオリジナル商品は、思い通りに売れないのでしょうか。
コンサル: すごい!良い質問ですね。R営業部長いかがでしょうか。
R営業部長: 直球の難しい質問です。"なぜ"といわれましても・・・。やっぱり認知度が不足しています。今までは、OEM供給をしてきたので、O社ブランドを知っている人がほとんどいない、だから、我々が良い商品だと考えていても、お客様に手に取っていただけない、営業現場はそんな状態です。
コンサル: では、認知度を高めるために、どのようにすればよいでしょうか。R営業部長だけでなく、みんなで考えて、アイデアを出しあいましょう。
 
  ― 中略 ―
 
このあと、認知度を高めるために何をするべきか、全員で意見を出し合いました。そして、いろいろな意見の中から、営業部長が実行可能な意見を、意思決定カードを使って、選択していったのです。
このような検討を部門毎に行いましたが、まだまだ、メンバーが主体的に意見を発表するまでには至っていません。当初は、意見・質問の記入が、一枚もない部長もいました。しかし、ワクワク会議の導入時においては、それで良いと考えています。他人から変えさせられるのではなく、自分で“相手を知ることの大切さ、相手の意見・質問を求めることの大切さ”に気づき、変化していくことが重要なのです。
一方で、S製造部長の本音の質問が、経営会議の雰囲気を大きく変えました。このことは、最後の感想文の中に、S製造部長の質問に対して、賞賛の意見が多かったことからも伺えます。

初回の会議の最後に、経営会議における「部門実績と今後の活動計画」で、“発表するべき内容” “聞くべきポイント”について整理しました。また、ワクワクグラフによって“相手のことを知ることが、会議の場の安心につながった”ように、“相手の部門のことに関心を持つこと”も合意しました。

次回は、2回目の会議で、経営会議のメンバーに、どのような変化が起こってきたかをご報告します。
* *



コンサルティング物語

その4

〜 良い発言・悪い発言はない 〜

前回の会議の最後に、“相手の部門のことに関心を持つこと”を合意しました。1ヶ月間、相手の部門の活動に関心を持って観察する、そして、感じたこと、疑問に思ったことを経営会議の場で質問することにしたのです。


コンサル: 1ヶ月間、お互いに相手の部門のことに関心を持って、観察してきたと思います。観察した内容を、是非質問に活かしてください。
では、今回は、製造部門から「部門実績と今後の活動計画」について、発表をお願いします。他の部門のリーダーの方は、前回同様、発表を聞きながら、ポストイットに自分の意見や質問を記入してください。
S製造部長: OEM生産は、a社納入製品○○t 目標対比100% b社納入製品△△t 目標対比90% c社納入製品□□t 目標対比 95% ・・・ 自社ブランド商材の生産高◎◎t 目標対比 100%新商品xの生産高**t 目標対比100%。
( 中略 )
稼働率の目標対比 95% でした。
今後は、稼働率を高めるために、a社納入製品の前倒し生産と自社ブランド商材の生産を強化します。
コンサル: はい、ありがとうございます。S製造部長、皆さんからの質問・意見を求めてください。
S製造部長: 稼動率も目標対比 95% だから、特に問題はないでしょう。質問もないようだし、次の部門にいったらどうですか。時間の無駄です。
コンサル: もう少し、皆さんからの質問・意見を聞きましょう。T業務部長が発言したそうですよ。
T業務部長: 先月から気になっているのですが、自社ブランド商材の在庫が増えすぎています。営業部門が自社ブランド商材の販売目標を達成していないのに、自社ブランド商材の生産を、目標対比100%でおこなっていると在庫が増えるばかりではないですか。
S製造部長: それは違う。お客様からも値下げ要請が厳しい。製品の単位あたりの原価を下げないと、値下げ要請に応えられない。そのためには、稼働率を上げることが必要なんだ。T部長は、製造現場を知らないから、困るんだよ。
コンサル: S部長、その発言はルール違反です。相手を否定したり、批判してはいけません。私も、T部長と同じ疑問を持ちました。私にも、判るように説明していただけますか。
 
  ― 中略 ―
 
コンサル: R営業部長、今のS製造部長の説明に対して、どのようにお考えですか。
R営業部長: いくら生産量が目標対比100%でも、販売できなければ在庫になってしまう。やはり、販売に問題があるということでしょうか。
U経理部長: 経理財務の立場から言うと、在庫で資金が寝てしまうのは困る。資金を調達するために銀行交渉をするのは、私なんだから。
T業務部長: 私も資金が寝てしまうのは困る。原材料だけでなく、副資材も購入できなくなってしまうのです
コンサル: 活発な議論になってきました。もう少し議論を進めましょう。良い・悪いではなく、O社として、どのような生産体制を取るべきなのか、あるいは、望ましい生産体制を作り上げるために、どのようにして、部門間のコミュニケーションをとるべきか 考えましょう。そのときに、議論する軸がいります。つまり、O社の場合、優先して考えることは、在庫は資金が寝てしまうので、可能な限り、在庫は削減する。鮮度を保つことにもなりますね。その上で、やはり売上高を下げるわけには行かないので、売上高を確保していくためには、どのようにしていかなければならないか を考えましょう。
また、「在庫で資金が寝てしまうのは困る」という発言で止めないで、“だから、どのようにするべきか”、自分の意見を付け加えましょう
では、S製造部長、話し合いを進めてください
 
  ― 中略 ―
 
コンサル: 非常に活発な議論ですね。今までの話し合いでは、@やはり在庫は創るべきではない。Aしかし、在庫を減らしながら、売上をあげていくためには、それぞれの部門が、お互いにコミュニケーションをとることが重要である。このような、話し合いになっていると思います(製造部長は納得度50%、経理部長は納得度75%、その他の部長は納得度100%)。それで、次回の経営会議のときに、具体的に、どのような体制を構築するのか、話し合いましょう。
 
4人の部長の問題意識が、「在庫の増加」という現象から顕在化してきたようです。
次のT業務部長の発表でも、U経理部長の発表でも、また、R営業部長の発表でも、販売と製造と仕入のコミュニケーションの問題が取り上げられていました。
次回の経営会議までの1ヶ月間で、各部長は、どのように「在庫の増加」という問題を捉え、経営会議において、どのような解決への道筋が導かれたのでしょうか。

次回に報告させて頂きます
* *



コンサルティング物語

ワクワクする会議をしよう その5

〜 言ってもらったほうが得 〜

前回より、各部長は、「在庫の増加」に対する問題意識を持つようになったものの、具体的な活動の変化には至っていません。第3回目のワクワク会議を通じて、仕入部門であるT業務部長は、「在庫の増加」の問題をどのように捉えるようになったのでしょうか。


コンサル: 前回は、「在庫の増加」について活発な意見が交わされました。今回も、「在庫の増加」の問題について、問題解決の道を探っていきましょう。今回は、業務部門から、「部門実績と今後の活動計画」について、発表をお願いします。他の部門のリーダーの方は、前回同様、発表を聞きながら、ポストイットに自分の意見や質問を記入してください。
T業務部長: ア食材 仕入○○t 単価△△円、目標対比 仕入数量105% 仕入金額 98%、ア食材の仕入金額が下がったのは、相場が下がったためです。イ食材 仕入○○t 単価△△円、目標対比 仕入数量95% 仕入金額 101%、イ食材は逆に、相場が上がっています。・・・ 全体では、仕入○○t 単価△△円、目標対比 仕入数量100% 仕入金額 98%です。来月からは、季節食材のハ食材が入荷予定です。仕入数量102% 仕入金額 100%の予定です。今後とも、生産農家に対して、技術指導しながら、作柄と仕入単価のバランスを取っていきます。
コンサル: はい、ありがとうございます。T製造部長、皆さんから質問・意見を求めてください。
U経理部長: 販売が目標を達成していない状況で、目標通り仕入をしていると、「在庫の増加」の要因になるのではないか。生産者への支払も厳しくなる。
T業務部長: 農家とは、生産数量契約をしています。契約数量については、全量引き取らないといけません。私の役割は、品質の良い食材を安定供給することです。そのために、生産農家を選別して、技術指導をおこなっています。
S製造部長: 製造部門でも、食材が入荷するから、生産しなければならない、という側面もあります。生産目標を達成していくことは、コストダウンの意味もありますが、一方では、食材の入荷に対応しなければならないのです。
U経理部長: OEMの販売が、年々減少しているにも関わらず、仕入れ価格の値下げにも対応しなければならない。一方では、目標通りの数量が入荷・生産される、これでは八方ふさがりではないですか。
コンサル: R営業部長、営業の立場から、T業務部長に質問・意見・要望はないですか。
R営業部長: いえ、目標通り、販売していない営業が悪いのです。
コンサル: R営業部長、責任を営業部門だけで抱え込んでも、何も解決しないのではないですか。特に、新規のお客様に販売するということは、お客様から、「我が社の商品を選んでもらう」ということです。「我が社の商品を選んでもらう」努力は、営業だけの問題ではありません。社長も含め、4人の部長が考えなければならないことです。
T業務部長、販売の現状を踏まえて、契約数量を変更する方法はないですか。
T業務部長: 契約数量を変更することは困難です。しかし、付加価値の高いものを生産することによって、収入が保証されれば、生産農家が契約数量の変更に応じてくれる可能性はあると思います。R部長、どのようなタイミングで、どのようなタイプ・大きさの食材が必要ですか。生産農家を指導するヒントはありませんか。
R営業部長: そうか、今までは、OEMの商品とあえて違う商品を販売しようとしてきました。先日、新規のお客様を訪問したとき、OEM供給している商品に対して、(お客様は、その商品を我が社がOEM供給していることを知らないのですが)容量に対する要望を言っていました。そのお客様では、商品がバッティングするので、同じ食材を使った我が社の商品を販売することはできませんが、味や食感あるいは容量を工夫することによって、新たな市場を開拓できるかもしれない。
S製造部長: 今までは、OEMの供給先の要望にあわせて、味付けを工夫してきたが、オリジナルな味を開発することも可能ではないか。生産農家や社員の家族にもモニターになってもらったらどうだろうか。
T業務部長: それは、面白い。生産農家も、自分が関与した商品が、店頭に並ぶとわかれば、ものすごく、やる気がでるに違いありません。
コンサル: 生産農家を指導するヒントは、社内にありそうですね。商品開発は、我々の身近な人の声からはじめて、お客様の声に展開できれば、ヒット率が高まるでしょう。
R営業部長: T部長、よく店頭に、農家さんの名前の入った商品やPOPがあるでしょう。我が社の農家さんにも、写真やコメントで店頭に登場してもらえませんか。あるいは、試食会のときに、一緒にコーナーに立ってもらっても良い。商品説明にも、力が入るでしょう。
T業務部長: それも、面白い。正直、生産農家を商品開発や販売に巻き込むなんて、今までの発想になかった。
コンサル: T部長、生産農家を商品開発や販売に巻き込むという結論に対して、納得度はいかがですか(T部長 75% 納得。不足の25%は、他の部門とどのように連携したらよいのか、具体的な活動が見えていないため)。今の議論を受けて、新商品の開発・生産については、製造部門の発表の時に、新商品の販売・新規顧客の開拓への展開については、営業部門の発表の時に、議論を深めていきましょう。そして、最後に、それぞれの部門の活動内容を整理しましょう。
 
  ― 中略 ―
 
コンサル: 付加価値の高い新商品を開発・製造・販売することによって、「既存商品の販売量が減っているにも関わらず、仕入・生産を予定通り行い、在庫が増える」、負の連鎖を断ち切りましょう。そして、まず、小さなこと・できることから、行動の変革を始めましょう。
次回からは、「部門実績と今後の活動計画」の発表に加えて、今日決めた、「活動内容の取り組み及び活動した結果」について、発表願います。
 
O社では、ワクワク会議を通じて、部長間で話し合った方が得だ、意見を言ってもらった方が得だ、という認識が醸成されてきました。今まで、部門毎に独立して、部門目標の実現を目指していた姿勢から、全社的な課題(在庫の増加)に対して、協力して対応しようとする姿勢が見えるようになりました。
では、なぜ、「今まで、部門長は、部門毎に独立した認識を持ち、部門目標の実現を目指してきたのでしょうか」。それは、今までの経営会議が、社長と個々の部門長との1対1の詰問の時間であり、その背景には、社長自身が部門長を信頼していなかったことが上げられます。O社では、社長と各部門長、部門長間において、オープンなコミュニケーションが行われておらず、非常に生産性の低い会議が続けられたのです。

いよいよ次回は最終回、ワクワク会議は、各部門長にどのような変化をもたらしたのでしょうか。次回をお楽しみに。
* *



コンサルティング物語

ワクワクする会議をしよう その6

〜 ワクワクを追い求めて 〜

前回の会議では、生産農家を商品開発や販売に巻き込むという取り組みが決められました。業績はまだまだ回復基調にはありませんが、O社では、どのような取り組みが行われてきたのでしょうか。


コンサル: 今回の発表では、業績の報告と” 生産農家さんを商品開発や販売に巻き込む”取組についても、報告願います。他の部門のリーダーの方は、いつも通り、発表を聞きながら、ポストイットに自分の意見や質問を記入してください。
R営業部長: 今回は、私から報告させて頂きます。
一同: えっ 営業部長から報告されるのですか?
(今まで、営業部長が、報告することを一番苦痛そうにしていたからです)
R営業部長: まず、業績の報告です。(中略)。まだまだ、OEM商品も自社ブランド商品も、計画には届いていません。しかし、今後の取組によって、計画を達成できると考えています。
前回の経営会議の後、V食品スーパーのバイヤーにアポイントを取って、試食コーナーで、マネキンと一緒に生産農家の方に商品説明をさせてもらいたい、と言うことを提案しました。最初は、農家の人が立つ場所がないと断られましたが、何度か、お願いする中で、バイヤーから、農家の方に説明してもらうにしても、農場のパンフレットや写真がないと説明にならないだろう、という指摘を受けました。そこで、早速、業務部長と相談して、土作りから収穫までの写真とビデオを撮る取組をスタートしています。また、バイヤーから、熱心さだけではダメで、競合他社との違いもはっきりさせないと売れない、というアドバイスも頂きました。バイヤーのアドバイスを取り入れ、説明する環境を整備して、先週、再度、お願いに行ったところ、2ヶ月後の土日で、生産農家の方と試食即売ができるようになりました。
このような、やり取りを聞いていた営業マンが、今までは販売のお願いをして、はね飛ばされていたのが、やっと受け入れてもらえたとメチャやる気になっています。これも、思わぬ効果です。業務部長、生産農家さんの協力体制は進んでいるのでしょうか。
T業務部長: それでは、私の方の部門発表を先に致します。(中略)。契約数量が順調に入荷しています。早く、入荷と販売のギャップを埋めたいものです。
” 生産農家さんを商品開発や販売に巻き込む”取組については、3件の農家さんに、販売協力をして頂けると手を上げてもらいました。そのうち、Wさんに農場のビデオを依頼しています。販売を支援する体制が徐々にできつつあります。
商品開発への取組については、詳細は、営業部長から報告願いたいのですが、協力農家さんの登録を行っています。
R営業部長: 商品開発については、私がリーダーとなって、商品開発プロジェクトを立ち上げました。固定メンバーは、営業、製造、業務、経理から、各1名づつ選抜しました。そして、テーマによって、社内・社外の専門家、生産農家さんにも参加して頂きます。今、自分の農場で採れた作物を商品にしたいと願っている、積極的な生産農家さんに対して、プロジェクトへの参加登録を行っています。
コンサル: 店頭販売に、商品開発プロジェクトですか・・・ とても楽しみです。新しい価値が生まれそうな予感がして、とてもワクワクしてきますね。製造部長の取組はいかがですか。
S製造部長: それでは、製造部門の発表をします。(中略)。製造部門の取組としては、新たな商品開発に、対応できるように、若手の一人を工程管理の研修会に派遣しています。彼に対しては、研修会での勉強も大切ですが、そこで出会った仲間との交流を通じて、現場の生の声に多くの気づきを得ることに期待をしています。売れる商品をどのようにして生産していくのか、新しい挑戦をはじめています。また、商品開発プロジェクトにメンバーを派遣していますので、新商品情報の入手は、格段に早くなり、製造準備も十分にできると思います。
U経理部長: 管理部門としては、社員モニターの募集を始めました。社員の奥様あるいは家族の方にモニターに成って頂いて、忌憚のない意見を回収する予定です。モニターの募集は今月末までとしていますが、今、社員の1/3の方がモニターになりたいと立候補頂いています。社員にここまでの愛社精神があるとは、思いませんでした。嬉しい限りです。
コンサル: 最初から、愛社精神があったかどうかは確認できませんが、少なくとも、この2ヶ月の経営幹部の姿勢や行動が、社員や社員の家族の方に共鳴していったのではないでしょうか。
いずれにしても、V食品スーパー担当の営業マンにしても、社員モニターにしても、社員の改善意識が高くなることは、とてもワクワクする良い傾向ですね。これから、今後、どのような取組を行うか議論を進めましょう
 
  ― 中略 ―
 
コンサル: 今回で”ワクワク会議”の取組は最終回です。初めて、経営会議を見学させて頂いてから、5ヶ月が過ぎました。しかし、この5ヶ月の間に、経営会議の雰囲気だけでなく、社内の雰囲気や社員の行動も変わってきたのではないでしょうか。ただ、今は、変わり始めたところです。ここで、気を緩めず、この雰囲気の経営会議、社員の行動を定着させてください。それが、経営会議に参加している皆さんの使命です。ぜひ、皆さんで、この”ワクワク会議”で学んだ「対話」と「行動」をレベルアップしてください。すると、営業部長が体感しているように、必ず、業績がついてきます。その予感は、” 在庫を削減する”というテーマからスタートした、全社的な取組、そして、その後の会社の変化が、すべてを物語っていると思います。
ワクワクを追い求めて、新しい価値創りにチャレンジしましょう。
 
O社において、このワクワク会議の導入支援期間では、計画数字を達成する状況にはありませんでした。しかし、最終回時には、経営幹部だけでなく、一般社員まで“変化する価値”に気づき、部門を越えた全社的な取組が始まっていました。
 そして、このような取組を続けた結果、数ヵ月後、実績が計画数字をクリアーするようになったのです。そして、一度、計画数字をクリアーすると、その後、計画数字を下回ることはありませんでした。

次回からは、我が社の魅力を発信していこう が始まります。どのようにして、我が社の魅力を発見して、発信していくのでしょうか お楽しみに願います。
* *


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